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18

October

2017

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寺島しのぶさんに聞く、“わたしの子育て論” 【前篇】

女優として、女性として、幅広い年代から支持を集める寺島しのぶさん。この春には、眞秀(まほろ)くんが歌舞伎デビューを果たし、それを見守る母としても話題になりました。「キッザニアの窓」では、寺島さんが普段どのようにお子さまを育てているか、お話を伺います。

 


 

進む道は、こどもに決めさせる。


 

—— 寺島さんのお子さま、眞秀くんは、5月に初お目見えをされました。どのような感想を述べてましたか?

寺島 舞台を終えてまず発した一言が「楽しかった!」だったから、安心しました。25日間もの公演をやって、もう嫌だと思うのか、またやりたいと思うのか……何かしら思うことはあるだろうなと思っていたら、「楽しかった」と言ってくれて。みんなと別れるのが悲しかったそうです。そういう経験もできて、良かったなと思います。

 

—— 眞秀くんは、将来に向けて日頃からお稽古をされているんですか?

寺島 今のところ、踊りの稽古はやっています。歌舞伎の御曹司というと、本当はお父さんが身近で常に歌舞伎をやっていて、自分も結局それをやりたいなって思う環境ですよね。でも、うちにはそれがありません。私も年がら年中歌舞伎を見ているわけでもないですし、歌舞伎とものすごく近い距離にいるわけでもありません。ですので、彼も1回じゃわからないと思うし、2回やってから、考えて欲しいなと思います。

 

—— 歌舞伎の道に進むかどうかは、自分で決めてもらいたいということですね。

寺島 私はもちろん、彼が歌舞伎をやりたいと言ってくれたら嬉しいなって思うけれど、そこは決して、「やらねばならぬ」と言わなくていいと思うんですよね。そういう立場でもないし、彼自身の自主性で決めていけばいいなと思います。いずれにしろ、歌舞伎というものから離れて欲しくないなとは思います。将来的にはやらないにしても、歌舞伎が好きな人になってほしい。そこに導いてあげることは、やらないといけないなとは思います。

 

“歌舞伎”で得た成長とは?


 

—— 初めての歌舞伎を通して、眞秀くんに成長した部分は見られましたか?

寺島 “我慢”ができるようになったかもしれません。

 

—— どのような種類の“我慢”でしょうか?

寺島 歌舞伎をやると、毎朝全員の役者さんに大きな声でご挨拶をしに行くんです。ただ自分の役をやるだけではないわけです。それを25日間、始まる前、終わった後、先に帰る時にやらなくてはいけない。でもそういうのって、子供にとっては疲れるし、「面倒くさいよ」ってなるけど、決まり事だから、やりたくないと言って済まされるものではないと学んだようです。それを私が言っても聞かないけれど、うちの父が言うと、我慢してやるんですよね。幸運にも25日間、1回もごねることなく歌舞伎座に行ってくれたので、それは親として良かったなと思いました。

 

—— 周りの方たちからも、眞秀くんの成長ぶりについて何か耳にされますか?

寺島 周りのお母さん達に「顔が大人になったね」って言われましたね。私はそんなに気がつかなかったのですが、やっぱり大人の社会に揉まれたらこうなるんだって気付かされます。

 

友達のこどもも、しっかり怒る。


 

—— お子さまをこう育てていきたい、という考えはありますか?

寺島 色々な人に会わせて、その人なりの価値観に触れてもらいたいなと思います。親が絶対じゃないということを知ってもらう機会をつくる。これは夫婦共々思っていることです。

 

—— 世の中にはいろんな人がいるんだぞ、ということですね。

寺島 私は、誰がどう彼を叱ろうが全然構わないんです。「なんで怒られたのかな?」と、彼自身で考えてもらいたい。「こんなことしてもお母さんは怒らないのに、なんでこの人は怒ったんだろう?」とか。色々な人と接して、色々な人に植え付けられた価値観の中から、最終的に彼が選択していって欲しいです。自分でちゃんと決めて、自分で道を切り開いてほしいなとは思っています。

 

—— 寺島さんも、他のこども達に、ご自身の価値観で接しているのでしょうか?

寺島 そうですね。幼稚園のお友達の子に対しても、私が嫌だなと思ったことは容赦なく怒ります。もしかしたらお母さん達も、私に言わないだけで、嫌な気持ちになっているかもしれません。「別に怒らなくていいのでは」というお母さんもいれば、「私は、それは気持ち悪いから怒るよ」と言ったりします。そうすると気心が知れたお母さん達になっていくんです。こども達が作った輪なんだけれど、たくましいお母さんや、働いているお母さんがいて、キャパが広いお母さん達が多いです。私はそういう人たちに、すごく助けられています。

 

キッザニアで見る、こどもの“個”。


 

—— 幼稚園のお友達と、よくキッザニアに遊びに行かれるそうですね。

寺島 これまで4回くらい行っていると思います。先日はお友達と4人でパビリオンを周っていました。キッザニアは、こども達の個性が見られて面白いですよね。「これをちゃんとやりたい」って子もいれば、「喧嘩するんだったらどっちでもいいよ」って、中立的なことを言える子もいる。うちの息子は意志が強すぎて、「とにかくやりたい!」ってものをやるタイプなんです。もうちょっと譲ってあげたらいいんじゃないかなと思うんですけどね。

 

—— 保護者の方にとっては発見の場でもありますよね。

寺島 この前は、救急救命士をやっていました。心臓マッサージを習ったようで、うちの犬が寝ているところをやろうとしたから、それはやめてって言いました(笑)。

 

—— 男の子はわんぱくですからね(笑)。日常生活の中で成長を感じられる瞬間はありますか?

寺島 最近、私が運んでいた荷物を持ってくれたことがありました。「重そうだから持ってあげるよ」って、言ったんですよ。なんかそれにキュンってしましたね。いつもだったら脇目も振らず、ダーって走って行っちゃう子なんですが。いつも私が言う「1個くらい持ってくれてもいいよね」っていう愚痴を聞いていて、そろそろやってあげてもいいかなって思ってくれたのかもしれません(笑)。

 
 

寺島しのぶさんに聞く、“わたしの子育て論” 【後篇】
 

寺島しのぶ
女優。1972年12月28日生まれ、京都市出身。『赤目四十八瀧心中未遂』、『ヴァイブレータ』では日本国内外で10以上の映画賞を受賞。『キャタピラー』で、日本人として35年ぶりにベルリン国際映画祭・最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞。最近の出演作に、『シェル・コレクター』、『STAR SAND』、『幼な子われらに生まれ』がある。2018年1月より舞台『秘密の花園』に出演。映画『Oh Lucy!』、『蚤とり侍』の公開も控える。

 

Photo:Ayumi Yamamoto/Text:Ryo Hasumi/Styling:Ayako Nakai/Hair make:Kana Asano

 

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