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10

January

2019

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あの仕事を終えたら、読みたい本。vol.10

キッザニアで体験できる職業をテーマに、ブックディレクターの山口博之さんが本を紹介する連載。第10回目に取り上げるのは、劇場、メガネショップ、トラベルセンターに関わる本です。セレクトしたのは、劇作家によるコミュニケーション教育の本や、眼鏡を通して著名人の視点を疑似体験できるもの、旅先での感受性を豊かにしてくれる本。ブックディレクターの視点とともに、気になる1冊をお楽しみください。


『わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か』

この本にまつわる仕事 「劇場」

出版社:講談社

劇場で表現することを学んだお子さんのご両親におすすめしたいのが、こちらの書籍。著者の平田オリザさんは劇作家で、長年、小中学校で演劇を使ったコミュニケーション教育を推進してきました。若者のコミュニケーション能力が低下しているという都市伝説のような話を否定しながら、求められるコミュケーション能力とは一体何であるのか、平田さんのワークショップを通じて語られます。ワークショップでは『転校生がやってくる』という台本を元に、生徒たちがアレンジして、オリジナルの要素を加えていきます。もしも喋ることが苦手なこどもがいたら、喋らない役があってもいい。それぞれの個性を大切にしながら演劇を作り、個性や文化の違いを理解する能力を育むのが目的です。現在の日本では「自分の主張を伝えること」と「空気を読むこと」という2つの矛盾する能力が求められがちですが、お互いの違いを受け入れることこそ、表現やコミュニケーションの鍵となるのではないでしょうか。


『Between Visible』

この本にまつわる仕事 「メガネショップ」

出版社:Nazraeli Press

ロンドン在住の写真家、米田知子さんの写真集『Between Visible』では、小説家や音楽家、建築家などがかつてかけていた眼鏡越しに、その人にまつわる直筆原稿や写真を見るという経験ができます。フロイトの眼鏡を通して見るユングの文章、マーラーの眼鏡越しの交響曲の楽譜、谷崎潤一郎の眼鏡で見る松子夫人への手紙……。歴史的人物の遺物は保管されることが多く、生活で使われていたものも、単なる物としてしか知ることはできません。眼鏡はそれを通して何かを見ることで、初めてその役割を果たします。メガネショップを体験したお子さんには、この写真集を通して、もう味わうことのできない誰かの視点を疑似体験させてあげてください。その人が見ていたものや考えていたこと、作った作品への想像はまったく違う膨らみ方をすると思います。「見る」という行為の時間性も感じることができるはずです。


『ナチュラル・ナビゲーション―道具を使わずに旅をする方法』

この本にまつわる仕事 「トラベルセンター」

出版社:紀伊國屋書店

お子さんがトラベルセンターでツアープランナーの仕事に興味を抱いたら、旅先でいろんなことを感じる能力を伸ばしてあげてください。『ナチュラル・ナビゲーション』では、太陽や月や星、樹木の形や動物の動きなど、自然から情報を読み解く技術を教えてくれます。著者は冒険家のグーリー・トリスタン。スマホやGPSがない時代、人は自然にある環境を読み解くことで自分の居場所を把握し、進むべき道や距離を判断してきました。この本に出てくるのは、海、谷、砂漠など、都市の風景とはやや違う冒険家が経験する世界ではありますが、自然から情報を読み解くという技術と方法論は、都市旅行者にも普段の生活にも汎用性があります。旅先で同じ景色を見たとしても、目の前の事象や風景から読み取る情報量が違えば、旅によって得られるものは想像以上に多く、深いものへと変わっていくのではないでしょうか。

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.1

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.2

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.3

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.4

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.5

あの仕事を終えたら、読みたい本。vol.6

あの仕事を終えたら、読みたい本。vol.7

あの仕事を終えたら、読みたい本。vol.8

あの仕事を終えたら、読みたい本。vol.9

山口博之

1981年仙台市生まれ。立教大学文学部英米文学科卒業。大学在学中の雑誌「流行通信」編集部でのアルバイトを経て、2004年から旅の本屋BOOK246に勤務。06年、幅允孝が代表を務める選書集団BACHに入社。様々な施設のブックディレクションや編集、執筆、企画などを担当。16年に独立。様々な場所のブックディレクションをはじめ、ブランドや広告のディレクション、さまざまな編集、執筆、企画などを行なっている。手がけた書籍は『KIGI』、『持ってゆく歌、置いてゆく歌』(大谷能生)、『ヨコちゃんとライオン』(角野栄子)、『蝙蝠』(ミヤケマイ)などがある。現在、honeyee.comでブックレビューを連載中。

この記事で紹介されたアクティビティ

「劇場」
キッザニア東京 / キッザニア甲子園

「メガネショップ」
キッザニア東京 / キッザニア甲子園

「トラベルセンター」
キッザニア東京

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