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27

September

2018

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商品第1号に会いに「vol.2 はとバス」

長い歴史を誇る企業の社名やサービスを知っている人は多いですが、その企業の商品第1号がどんなものかを知っている人は、あまり多くはないのでは? 企業が情熱を傾けて生み出した結晶であり、企業の姿勢や思いを伺うことができる商品第1号。キッザニアの窓では、そこからさまざまな企業の歴史やエピソードを紐解きます。 第2回目は「はとバスのバスツアー」です。


 

東京を3時間半で巡る「都内半日Aコース」。

レモンイエローの車体に真っ赤な“HATO BUS”のロゴが映える「はとバス」。都内を中心に観光地を縦横無尽に走るこのバスの色には、「1.近代的なイメージ」「2.大きく見える」「3.曇りの日でも遠くからでも目立つ」「4.東京のイメージカラーといわれるグレーに映える」という4つの理由があるそうです。今ではすっかり“はとバスカラー”として認知されているので、この戦略は大成功といえるでしょう。今では誰もが知る東京の観光バスになっていますが、その商品第一号はどんなツアーだったのでしょうか?

「はとバス」を運行する「新日本観光株式会社」が設立されたのは1948(昭和23)年でした。戦前には、東京観光のための遊覧乗合バスが走っていましたが、戦争で運行を休止。戦後いち早く観光バスをスタートさせたのが、「新日本観光株式会社」でした。

最初は団体貸切バスとして運営を始めた同社でしたが、1949(昭和24)年3月19日、本来の目的であった都内定期観光バスの運行をスタートさせました。記念すべき最初のコースは「都内半日Aコース」と名付けられたコースで、上野公園、皇居前、赤坂離宮、浅草観音で途中下車しながら都内を周遊する3時間半のルート。料金は大人ひとり250円でした。当時、都バスの運賃が6〜10円だったことからも、観光バスでの東京周遊が豪華な旅だったことがわかります。

 

運転士第1号が語る運行初日の様子。

広報室長の永野さんによると、都内定期観光バス第一号の運転士だった小座間正義さんが、のちに運行初日の様子を語ったインタビューの記録が残っているそうです。

「第1号が出発した3月19日は、すみずみまで晴れ渡った行楽日和だったとあります。バスガイドはなんと5日前に採用され、必死に観光ルートを勉強して当日に臨んだのだとか。マイクもないので地声で案内し、その案内に合わせてバスのスピードを緩めたりもしていたようです。当時は都内を走る車の数も少なく、すれ違う対向車も1時間に1台程度だったとか。渋滞はおろか、後ろからクラクションを鳴らされることもなかったでしょうね」

 

高度経済成長とともに急発展

トレードマークの鳩は、平和のシンボルであることや、同じ場所に戻ってくるという信頼の証として運行当時から採用。翌年からは「はとバス」という愛称も決定し、現在の原型ができたといえます。

運行当初は乗客が数人という日もあったそうですが、夜のコース、1日コースなどと徐々にコースを増やしていきます。その後、はとバスは昭和30年代の高度経済成長による東京の発展とともに急成長を遂げます。なかでも、1958(昭和33)年に完成した東京タワー、そして1964(昭和39)年開催の東京オリンピック関連スポットを周るコースは、「はとバス」の名を一躍有名にしました。ほかにも、吉原松葉屋「おいらんショー」やボウリングやゴルフの練習場を巡るコースなど一風変わったコース設定で乗客の心をつかんでいきます。

また、いつも笑顔で乗客をもてなすバスガイドの存在も“はとバス人気”を牽引する大きな要素のひとつでした。流行を反映したおしゃれな制服も人気で、1968(昭和43)年には、日本を代表するファッションデザイナー森英恵さんデザインによる、明るく清潔感のあるミニスカートの制服が注目を浴びました。

そのためバスガイドは女性の憧れであり、採用倍率も10倍以上とかなりの難関でした。反対に、バスガイドを女性の憧れの職業にしたのが、東京観光の花形だった「はとバス」であるともいえるでしょう。

 

創業当初から変わらない“おもてなし”の心。

「はとバス」が創立時から一貫して行なっているのが、旅行プランの企画と、バスガイドの育成です。“バス旅行”の魅力を知り尽くしている同社が自らコースをつくることで、交通手段としてバスを利用するだけでは得られない斬新な観光コースを設定することができます。また、社員としてバスガイドを育成するからこそ徹底した“おもてなし”を提供できるといいます。

「はとバスは、人対人のサービスを大切にしています。新しくできた施設を見学したいという思いでご利用いただいているお客様が多いのはもちろんですが、バスガイドや運転士のおもてなしを楽しみにしていただいている方も大勢いらっしゃいます。出発の前に挨拶をしたり、見学地につくたびに乗降口で『行ってらっしゃい』と声をかけたりするなど、自分ひとりで見学地へ行くだけでは得られない“人”の温もり、おもてなしという付加価値の部分を、これからも大切にしたいと思っています」

 

創立70周年を迎えた2018年。

今年、創立70周年を迎えた「はとバス」。9月30日(日)には、70周年を記念した「はとバスエキスポ」が東京タワーで行われます。また、1年を通して東京観光や日帰りツアー、宿泊ツアーなどのスペシャルコースも用意されているそう。

スマホさえあれば世界中をバーチャルで行けてしまう時代だからこそ、「はとバス」で東京観光はいかがでしょうか? 黄色いバスの窓から切り取ると、おなじみの風景も普段と違って見えるかもしれません。

 
 

Text :Akiko Yamamoto

 
 

商品第1号に会いに「vol.1 森永製菓」

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