thumbnail

10

August

2018

SNS SHARE

夏休み「自由研究」応援企画 vol.2。仕事現場の過去を探ろう!「仕事のタイムトラベル」

キッザニア東京では、「タイムトラベル~しごとの歴史と未来~」をテーマに、夏休みの自由研究をサポートする応援企画を8月31日まで開催しています。昔からある職業でも、時代の流れや技術の進歩とともに、仕事内容は少しずつ変化するもの。それぞれの職業にはどのような過去があったのでしょうか。今回は、街中にある本屋さんの歴史的な背景に迫ります。日本書店商業組合連合会の理事・事務局長を務める石井和之さんにお話を伺いました。


 

本屋さんは日々どんな仕事をしているの?

本屋さんの朝は大忙し。開店前、「取次」と呼ばれる流通業者から送られてきた大量の書籍や雑誌を検品し、売り場ごとに並べていきます。近年人気の付録付きの場合、本と付録は別々になっているので、一冊ずつ手作業でセット。本の汚れを防ぐための「シュリンク」という透明なビニールのフィルムをかけるのも、それぞれの本屋さんで行われています。

営業中の仕事も、販売・接客だけにとどまりません。おすすめしたい本の紹介コメントのPOPを作成したり、イベントやフェアの企画をしたりと、さまざまな仕事に取り組んでいます。

閉店後は、レジの締め作業に加え、売れ行きや新刊情報をチェックして本を注文。さらに売れなかった本を出版社に返品するための梱包を行っていきます。これは日本の本屋さんならではの仕組みによるもの。

日本の出版業界には、取次が出版社から預かった本を本屋さんに届け、店頭で売れ残った本を取次経由で出版社へ返す「委託販売制度」という大きな特徴があります。この制度のおかげで本屋さんは在庫を抱え込まず、次から次へと新しい本を販売することができるのです。

そのため、書棚の本は日々入れ替わり、日々変化をしているといえるでしょう。創意工夫を凝らした書棚づくりやディスプレイは本屋さんの個性のアピールポイント。お客さんに楽しんでもらうための大切な仕事となっています。

 

日本は世界でいちばん本屋さんが多い国。

日本にある本屋さんの数は約1万軒。最も多い時で約2万6000軒ありました。人口数と書店数の比率をふまえると、日本は世界一本屋さんが多い国といえるのだそう。

「日本にこれだけ本屋さんが増えたのは、取次を中心にした流通の仕組みによるところが大きいです。取次の配本ルートは日本の津々浦々を毛細血管のように走っています。そのおかげで発売予定日に書籍や雑誌が店頭に並び、離島や山奥にある本屋さんにも本が届くんですよ」。
さらに石井さんはこう続けます。

「取次は本を運ぶだけでなく、本屋さんが出版社へ支払う代金の集金も行っています。このような取次を介した委託販売制度に加え、定価販売制度も日本の出版業界の特徴といえるでしょう。この制度により、新刊の本は必ず定価で販売しなければなりません。だからこそ、全国どこの本屋さんでも同じ金額で本を買うことができるんですね」

また、日本人がこれだけ本に親しむようになったのは、識字率の高さもあるでしょうね。江戸時代、寺子屋が広まったことで庶民も読み書きを教わるようになりました。その結果、多くの人々が本を読めるようになったことも本の普及に影響しているそうです。

 

本屋さんのルーツは京都にあり!

歴史をさかのぼると、本といえば仏教書が中心でした。鎌倉時代から室町時代にかけては、寺院によって仏教書の出版が盛んに行われていたといいます。

手書きで複製した写本、木の板に文字を彫った版木を使う木版印刷、15世紀にヨハネス・グーテンベルクがドイツで発明した金属活字を用いる活版印刷と、印刷技術は時代とともに発展。金属活字は製作に費用と時間がかかるため、明治時代までの出版物の多くは木版印刷によるものだったそうです。

「本の売買が行われるようになったのは江戸時代、1600年代です。朝廷があり、寺院の多かった京都が、出版文化はじまりの地といえるでしょう。現存する日本最古の本屋は1630年頃に京都で開業した永田文晶堂。江戸時代から仏教書を専門に扱っています。第5代将軍・徳川綱吉が治めた元禄期には本屋が400軒ほどで、そのうちの9割が京都にあったといわれているんですよ」と石井さんが話すように、京都には江戸時代から営業を続ける本屋がいくつか残っています。

徳川幕府は学問を奨励していたこともあり、江戸時代中期になると出版の中心は江戸へ移行。公的な出版物を多く手掛けた須原屋茂兵衛や、山東京伝、喜多川歌麿、東洲斎写楽らの浮世絵などを出版した今でいう敏腕プロデューサー・蔦屋重三郎らが、江戸時代の出版を盛り上げたと伝えられています。

明治時代頃まで、本屋は本を販売するだけの店でなく、編集、印刷、製本、小売のすべてを担っていました。現在のように本をつくる出版社、取次のもととなる卸売専門の問屋、本を販売する本屋と、分業化が進んだのは明治時代に入ってからです。

 

本屋さんは夢を与える仕事。

明治時代初期の文明開化の流れにのって、書籍や雑誌がどんどん出版されるようになり、本屋さんも発展を遂げます。第二次世界大戦によって日本は非常に大きな傷を負いながらも、出版業界は再興していきました。

近年、パソコンやスマートフォンといったデジタル端末でさまざまな情報が得られるようになり、本もインターネットで購入することが、当たり前のようになっています。本屋さんの店舗数は10年前と比べて約25%減少。出版業界の構造そのものの再編も加速しています。

「今も昔もどんなに苦しい状況でも、本屋さんを守ろうと頑張り続けている人たちは実にたくさんいます。それはみんな、本が好きだからなんですよ。知識の糧になるものを販売しているプライドがあるんですね。街の小さな本屋さんだって『もし営業を辞めてしまったら、自分の街に本屋が一軒もなくなり、文化が途絶えてしまう』という気持ちを持たれていると思います。読者に本を直接手渡せるのは本屋だけ。朝が早く、夜が遅い仕事でも、お客さんが喜んでくれる顔を見ると『明日も本屋を続けていこう』と感じられるんです」と、石井さんは真剣な眼差して話してくれました。そして次のように続けます。

「テレビや映画と違い、本は読んだ人の数だけイメージの膨らませ方がありますよね。イマジネーションを培うためにも本は必要ですし、読書をしている時間はすべてを忘れて没頭できる。日本で1年間に出版される新刊本は約7万8000点です。本屋さんは、タイトルを見ただけでこれまで知らなかった無限の世界に出合える場でもあるんですね。本屋さんはそういった夢を人々に与えられる、素晴らしい仕事なんですよ」。

昔から今に至るまで、文化を売る場として、人々に愛されてきた本屋さん。過去と現在の仕事を知れば、未来の仕事を考えるきっかけにもなることでしょう。自由研究のテーマ探しに困っているお子さんがいたら、ぜひ、興味を持った仕事を、ひとつ、掘り下げてみてはいかがですか?

キッザニア東京では、「タイムトラベル~しごとの歴史と未来~」をテーマにみなさんの自由研究を応援しています。仕事体験や限定イベントを通じて、「昔はどんな風に働いていたの?」「未来につながるすごい技術って何?」といった疑問など、自由研究のヒント探してみてください。

 

夏休み「自由研究」応援企画 vol.1。科学の視点から仕事服を見てみよう!

 

キッザニア東京

この記事を友達にシェアしましょう