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6

July

2018

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あの仕事を終えたら、読みたい本。vol.7

キッザニアで体験できる職業をテーマに、ブックディレクターの山口博之さんが本を紹介する連載。第7回目に取り上げる職業は、医薬研究所、地下鉄、冷蔵サポートセンターの3つです。セレクトしたのは、病気がどのように発生するのかを学べる病理学の入門書、地下鉄の構造を論理的に伝える絵本、有名シェフたちの自宅の冷蔵庫を撮影した写真集。ブックディレクターの視点とともに、気になる1冊をお楽しみください。


 

『こわいもの知らずの病理学講義』

この本にまつわる仕事 「医薬研究所」

出版社:晶文社

お子さんが医薬研究所の仕事に興味を抱いていたら、お母さんやお父さんに読んでいただきたいのが、『こわいもの知らずの病理学講義』です。病理学とは、病気の発生や原因を調べ、診断をする医学のこと。病院に行くとお医者さんが診断をして何の病気かについてわかりやすく説明してくれますが、なぜその病気になるかまでは詳しく触れないことがありますよね。例えばがんなら、細胞がどうなることなのかを患者側もわかっていないと説明をきちんと理解できないことがあります。抗がん剤や放射線治療、代替医療など、それぞれの治療法のメリット・デメリットを比較検討するためにも知識を身につけておくことは大切なこと。著者である仲野徹さんは、大阪大学大学院の病理学教授で、講義とあるようにくだけたしゃべり口調で分かりやすく病理学を解説しています。「むくみ」や「日焼け」など日常的なテーマもあるので、人間の細胞や血液の仕組みを身近に感じることができるはずです。最低限の知識をもってお医者さんにかかることでわかることをお子さんと共有できると良さそうです。

 


 

『地下鉄のできるまで (みるずかん・かんじるずかん)』

この本にまつわる仕事 「地下鉄」

出版社:福音館書店

「だるまちゃんシリーズ」でも知られる絵本作家、加古里子さんの著書『地下鉄のできるまで』は、地下鉄の構造をその建設過程から論理的に細かく伝えるガチな絵本。例えばトンネル工事の方法である、開削工法やシールド工法について描かれていたり、コンクリート工事は1日6メートル程しか進まないことが書かれていたり、非常用電源や非常口など、地下鉄を作るのに必要となる要素をディテールまで解説しています。こどもに物事を教える時に、分かりやすく詳細を省いて伝える方法もありますが、手を抜かず、イメージできるように絵を丁寧に描いて、不思議に思っていることをちゃんと説明することも大事ですよね。電車好きのお子さんは電車の名前を覚えるのも得意なので、一見マニアックだけど奥行きのある情報を提供することで、暗記から始まる知識がさらに深まるのではないでしょうか。「電車って速いね、かっこいいね」というだけでなく、電車が街の地下を走るすごさをリアルに体感できる絵本です。

 


 

『Inside Chefs’ Fridges, Europe: Top Chefs Open Their Home Refrigerators』

この本にまつわる仕事 「冷蔵サポートセンター」

出版社: Taschen America Llc

キッザニアで冷蔵サポートセンターを体験したお子さんにお薦めしたいのが『Inside Chefs’ Fridges, Europe:』です。一言で説明してしまうと、「ヨーロッパの有名シェフに自宅の冷蔵庫を見せてもらう」企画で、冷蔵庫の中の写真と、そこにある食材で作ったローカルフードを撮影した1冊です。撮影があるからか、みなさん冷蔵庫の中は普段よりきれいなのではと邪推してしまいますが、料理のジャンルや地域、性格、どんな食材や調味料を重宝しているのかわかったり、ビンやプラスティック容器で食材を小分けにして整理していたり、わりと雑だったり、それぞれの料理人としてだけでなく、家の中でのプライベートな個性も見えてきます。醤油やガーリック柚子ソースなど、日本の調味料を揃えている人も多く、それを探してみるのも面白い。そして冷蔵庫の中を見てからシェフの料理を見ると、食材にこだわる人、味付けした食材を保存しておいてお酒を楽しむ人、朝食を大切にしている人など、シェフの生活感、価値観が見えてくる。冷蔵庫というひとつの視点で観察し、差異からその人の魅力を考える編集方針も、学びになる本です。

 

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.1

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.2

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.3

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.4

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.5

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.6

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.8

 

 

山口博之

1981年仙台市生まれ。立教大学文学部英米文学科卒業。大学在学中の雑誌「流行通信」編集部でのアルバイトを経て、2004年から旅の本屋BOOK246に勤務。06年、幅允孝が代表を務める選書集団BACHに入社。様々な施設のブックディレクションや編集、執筆、企画などを担当。16年に独立。様々な場所のブックディレクションをはじめ、ブランドや広告のディレクション、さまざまな編集、執筆、企画などを行なっている。手がけた書籍は『KIGI』、『持ってゆく歌、置いてゆく歌』(大谷能生)、『ヨコちゃんとライオン』(角野栄子)、『蝙蝠』(ミヤケマイ)などがある。現在、honeyee.comでブックレビューを連載中。

 

この記事で紹介されたアクティビティ

「医薬研究所」
キッザニア甲子園

「地下鉄」
キッザニア東京

「冷蔵サポートセンター」
キッザニア甲子園

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