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16

February

2018

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あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.4

キッザニアで体験できる職業・社会体験をテーマに、ブックディレクター山口博之さんが本を紹介する連載。第4回目のテーマは警察官、ファーマーズセンター、電子マネーセンターです。セレクトした3冊は、刑事ドラマの原型になったと言われる本と、持続可能な自然との付き合い方を考えられる本、そして未来のお金のあり方を実感できる本。ブックディレクターの視点とともに、気になる1冊をお楽しみください。


 
 

『張り込み日記』

この本にまつわる仕事「警察官」

出版社:ナナロク社

ドラマや映画で人気の刑事ものですが、その原型ともいえるのが、『張り込み日記』。昭和33年に起きた実在する事件を追う刑事ふたりに同行した20日間の捜査記録です。写真家の渡部雄吉さんが撮った写真を人気作家の乙一さんが構成していて、東京タワーが登場する前の東京を舞台に、ベテラン刑事と若手刑事が捜査を遂行していきます。手掛かりとなる布片から犯人が宿泊していた旅館を特定したり、捜査中に電信柱の後ろに刑事が隠れたり、まさに刑事ドラマのようなシーンが繰り広げられています。また、足で情報を稼ぐのが刑事の重要な仕事だけに、当時の東京の下町の風景も多く載っていて、昭和の日常を知るうえでも貴重な資料です。科学捜査が進化する現代でも地道な捜査は欠かせないものですし、陪審制の導入により、民間人にも犯人の動機を考えることが求められています。刑事の仕事に興味のある人なら、誰もが気になる1冊かもしれません。

 
 


 

『シティ・ファーマー: 世界の都市で始まる食料自給革命』

この本にまつわる仕事「ファーマーズセンター」

出版社:白水社

農業に興味を持つお子さんを持つ方におすすめしたいのが、『シティ・ファーマー』。持続可能な自然との付き合い方を考える人びとができる範囲で実践している農業の事例が紹介されています。例えばロンドンの住宅では、ある男性が5㎡の裏庭と玄関スペースをうまく活用して野菜を栽培。なんと、年間購入していた約820ドル(約8万7470円)分を生産、10年後には年に1,480ドル(約15万7858円)分の野菜を生産できるようになりました。栽培の種類も多彩で、ハーブ、トマト、ケール、胡椒、ズッキーニなどを作っています。また、ロンドン北部のスーパーマーケットの屋上農園では、リサイクル容器や家庭回収ゴミで作った有機肥料を活用しながら野菜を栽培しています。トマトやルッコラ、大根などが育ち、農園には蜂や昆虫も集まるようになりました。そして、野菜を販売して得た売上は農園維持に使われています。もちろん大きな産業ではありませんが、「その土地で生産して消費する仕組み」を作り持続することは、誰もが挑戦可能で、意味のあることではないでしょうか。

 
 


 

『お金2.0』

この本にまつわる仕事「電子マネーセンター」

出版社:幻冬舎

インターネットとテクノロジーの進化は、あらゆる仕組みを新しく変えていきます。お金も例外ではありません。現代社会では私達が普段使っている紙幣や硬貨(法定通貨)が主流ですが、『お金2.0』を読むと、仮想通貨であるビットコインや代用通貨トークンの登場によって、「お金=価値」のあり方が変わってきていると実感できます。例えば「タイムバンク」と呼ばれるサービスでは、時間をお金に換算する仕組みを提案しています。「若者は時間はあるがお金はない。老人はお金はあるが時間はない」という社会の問題をうまく利用した新しい貨幣の価値基準が生み出されているのです。これからは、時間だけではなく、アイデアとともに新しい基準がたくさん出てくるのではないでしょうか。つまり、自分たちで経済圏を作っていける時代なんですよね。まだ変革が始まったばかりで先が見えないことも多いですが、電子マネーについて学んだお子さんには、「価値」という概念も一緒に教えてあげることで、将来の可能性が広がるかもしれません。

 
 

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.1

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.2

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.3

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.5

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.6

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.7

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.8

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.9

 
 
 

山口博之

1981年仙台市生まれ。立教大学文学部英米文学科卒業。大学在学中の雑誌「流行通信」編集部でのアルバイトを経て、2004年から旅の本屋BOOK246に勤務。06年、幅允孝が代表を務める選書集団BACHに入社。様々な施設のブックディレクションや編集、執筆、企画などを担当。16年に独立。様々な場所のブックディレクションをはじめ、ブランドや広告のディレクション、さまざまな編集、執筆、企画などを行なっている。手がけた書籍は『KIGI』、『持ってゆく歌、置いてゆく歌』(大谷能生)、『ヨコちゃんとライオン』(角野栄子)、『蝙蝠』(ミヤケマイ)などがある。現在、honeyee.comでブックレビューを連載中。

 

この記事で紹介されたアクティビティ

「警察官」
キッザニア東京 / キッザニア甲子園

「ファーマーズセンター」
キッザニア甲子園

「電子マネーセンター」
キッザニア東京 / キッザニア甲子園

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