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28

November

2017

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あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.3

キッザニアで体験できる職業をテーマに、ブックディレクターの山口博之さんが本を紹介する連載。第3回目のテーマはソフトクリームショップ、発明工房、出版社の3つです。ソフトクリームを類型学的な視点で見る写真集や、探究心とDIY精神を刺激するプロジェクトの裏話、巨匠作家たちの締め切りにまつわる逸話など、ブックディレクターならではのセレクトをお楽しみください。


 
 

『99×99s』

この本にまつわる仕事「ソフトクリームショップ」

出版社:Stephenson Press

キッザニアでソフトクリームショップのアクティビティに参加するお子さんにおすすめしたいのが、イギリスの写真家、Luke Stephenson(ルーク・ステファンソン)の写真集『99×99s』。イギリスやアイルランドではチョコレートの棒が刺さった99セントのソフトクリームのことを「99(ナインティナイン)」と呼びます。この本は「99」の店を99軒に渡って撮影したもの。おしゃれな店もあれば、田舎町の小さな店、移動式のフードトラックなどもあって、それぞれが個性を出しているんですよね。アイスの形も様々で、きれいなもの、頂上を中心からずらして斜めに盛っているもの、中にはジェラートみたいなものまで。ソフトクリームのお店はどこにでもあるけれど、同種同型を観測することで何が違い、何が魅力なのかなどの差異を見つける視点(類型学とも言います)を学んで、こども達が個性を発見できる本です。この本を参考に一緒にソフトクリームショップを巡って、定点観測的にInstagramで発信していくのも楽しいかもしれません。

 
 


 

発明工房 『ゼロからトースターを作ってみた』

この本にまつわる仕事「発明工房」

出版社:新潮社

お子さんが「発明家になりたい」と言ってきたら、ぜひ『ゼロからトースターを作ってみた』を読んでみてください。英国のロイヤル・カレッジ・オブ・アートの大学院生が卒業制作として行ったトースター製作プロジェクトの過程が書かれています。「部品の全てを、原料から作る」、「産業革命以前から使われている技術だけを利用する」「店で売った時にトースターと言えるものを作る」というルールを自分に課して、プロジェクトはスタート。市販のトースターを解体して構造と部品を分析し、鉱山に材料となる鉱石を採りに行き、金属を溶かすために苦戦を強いられる。家電量販店に行けば数千円ぐらいで買えるトースターを作るために、わざわざ9ヶ月の時間と15万円のお金をかけて果てしなく続ける挑戦は滑稽ですが、道具の利便性の成り立ちと科学の進歩を紐解く探究心とDIY精神こそが、発明家には必要ではないでしょうか。結局、トースター作りは失敗に終わるのですが、現在あるすべての製品は、数々の失敗の末に生まれたことを知るうえでもいい本です。

 
 


 

『〆切本』

この本にまつわる仕事「出版社」

出版社:左右社

小説家、漫画家、随筆家、エッセイストなど、出版に関わる人々には、常に〆切がついてまわります。『〆切本』は、夏目漱石、谷川潤一郎、藤子不二雄Aなど、名だたる巨匠達が〆切に間に合わないと苦悶しながら、その“言い訳”を書いた文章を集めています。出版界に入るならば、書けない、思いつかないという状況は必ず生まれるもの。それを、先人達がどのように対処してきたのかを学べる本です。中には〆切に間に合わないこと自体を原稿にするアクロバティックな人までいて、作家としての面白さを磨けば、そこまで行けるのだと感心してしまうはず。職業としてものを書く/描くということは、こどもの純粋な創作欲とはまた違ってくるもの。編集者のために書く、〆切があるから書けるという内容もあって、作家と編集者との良質な関係も学べます。きっと、こども達は楽しいから漫画を描いたり文章を書いたりしているのだと思いますが、仕事となると「〆切」は必ず出てくるもの。宿題、課題以外の〆切で苦しむこどもに、〆切の意義を教えてあげられたらいいですね(笑)。

 
 

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.1

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.2

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.4

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.5

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.6

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.7

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.8

あの仕事を体験したら、読みたい本。vol.9

 
 
 

山口博之

1981年仙台市生まれ。立教大学文学部英米文学科卒業。大学在学中の雑誌「流行通信」編集部でのアルバイトを経て、2004年から旅の本屋BOOK246に勤務。06年、幅允孝が代表を務める選書集団BACHに入社。様々な施設のブックディレクションや編集、執筆、企画などを担当。16年に独立。様々な場所のブックディレクションをはじめ、ブランドや広告のディレクション、さまざまな編集、執筆、企画などを行なっている。手がけた書籍は『KIGI』、『持ってゆく歌、置いてゆく歌』(大谷能生)、『ヨコちゃんとライオン』(角野栄子)、『蝙蝠』(ミヤケマイ)などがある。現在、honeyee.comでブックレビューを連載中。

 

この記事で紹介されたアクティビティ

「ソフトクリームショップ」
キッザニア東京 / キッザニア甲子園

「発明工房」
キッザニア東京

「出版社」
キッザニア東京 / キッザニア甲子園

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