thumbnail

28

December

2017

SNS SHARE

つんく♂さんに聞く、“わたしの子育て論” 【後篇】

3児の父であるつんく♂さんは、今は住まいをハワイに移して子育てや仕事に励んでいます。こどもを“こども”と見なさず、対等に接するようにしているという話を伺った前回に続き、今回はアメリカの学校事情と、秋にキッザニア東京で開催された「つんく♂プロデュース It’s a Kids Dance World!」に込めた想いを伺います。

 


 

いろいろ体験するから、チャンスがある。

— ハワイに住んでみて、日本の教育との違いについて感じることはありますか?

つんく♂ ハワイは小学校から部活があります。授業を終えたら、自分で好きな部活を選んで、2〜3時間やるんですよ。1コマは30分〜60分とそれぞれ違います。

 

— 好きな部活を選ぶ?

つんく♂ 日本みたいに、野球部に一度入ったら野球を月曜日から日曜日までずっとやるとかじゃないんです。この日はバレー部。この日はダンスとか、いろいろあって、好きな部活を曜日ごとに選んでいいんです。

 

— 「自分が伸ばせそうなのはこれだな」とか、選ぶ幅があるわけですね。

つんく♂ やっぱり日本人っていうのは、とにかく1個のことを追求できる民族なんでしょうね。素振りばかりやるとか、ああいう感覚は日本特有なのかもしれません。アメリカ人は飽きてしまうんじゃないでしょうか?

 

— たしかに。

つんく♂ そういう意味で、アメリカの部活は、こどもにとってチャンスが多いと言えるかもしれない。野球しかできなかったら、例えば高校野球の途中で「俺、レギュラーになれなかったな」で終わっちゃうわけですよ。もしかしたら野球じゃないことで開花したかもしれないのに。

 

— すごく良くわかります。

つんく♂ あと違いといえば、遠足かな。日本の遠足って、大義名分がたいそうじゃないですか?「今日は古墳に行きます」と連れて行かれて、「見た古墳の名前や形をよく覚えとけよ、今度、絵に書いてもらうぞ」とか言われて。「なんか見たけどようわからん」みたいな。でも実際こどもにとってみれば、早くお弁当の時間にならないかな、おやつ食べたいなってそっちが大事ですよね?もちろんハワイでも社会見学のような授業はありますが、こないだ行ったハワイの遠足には大義名分みたいなのは特になく、いきなり楽しい本題に入ってたように思います。ま、分かりやすいですね。勉強は勉強、遊びは遊び!みたいな。

 

— ハワイではどんな場所に遠足へ?

つんく♂ 近所のビーチです。着いたらいきなり海。みんなでバーって海に入って行って。ボディーボードやる子はやって、先生も一緒にみんなで楽しんでいますね。同時におとなは昼ごはんの段取りし始めて。

 

— ハワイで育ちたかったです…。

 

「一緒に買い物行こう」は、楽しくない。

— この秋、キッザニア東京で「つんく♂プロデュース It’s a Kids Dance World!」というイベントを企画されました。最新のビルボードヒットナンバーから、懐かしのヒットソング、アニメソングなど様々なパーティーチューンを流し、家族でオシャレをして楽しむこのダンスパーティーを開催した意図を聞かせてください。

つんく♂ まず、こどもと親が一緒に楽しめるイベントが日本には少ないと思ったんです。例えば、大阪には「だんじり祭り」というのがありますよね。あれはこどもも親も関係なく、地域の人はみんな参加します。東京だと、そこまでの繋がりがあるイベントがないですよね。こどものために何かするなら、お金を出して遊びにいくか、大人は映画見に行くとか、飲みに行くとか。何となく別々に楽しんでいる気がします。

 

— そうですね。

つんく♂ うちの息子に「家族で買い物行こう」って誘うと、「えー、楽しくない」って言います。ママや娘なんかは、みんなでブラブラしたいんですよね。とはいえ娘たちも飽きてくるので途中でアイスを食べたりして、「あー、楽しかった!」って帰る。結果何も買ってない。男にはなかなかわからないですよ。あれは(笑)。

 

— 私も、よく母とデパートに行って、疲れてました(笑)。

つんく♂ ハワイではこどものための日となると、パーティーやバーベキューをすることが多いです。「うちは○○○を作るから、あなたの家は○○○を持ってきてね」とか分担したりして。何家族か集まればこどもはこどもで遊びます。家の中ならテレビゲームをやったり、女の子は手芸みたいなものやったり、外なら海やプールでずっと遊んでます。親はそれをうまく監視しながら基本は自由にさせつつ、ご飯食べたり喋ったりワイン飲んだり。

 

— 素敵です…。

つんく♂ なので、キッザニアのイベントの中では、親もこどもも関係なく、みんなで一緒に楽しめる場を作りたかったんです。以前、テイラー・スウィフトが来日した時に、家族で観に行ったんですけど、すごく楽しかったんですよ。こどもや嫁さんも僕も好きで。みんなで「わー!」ってなるわけですよ。でも例えば、映画を観に行こうってなったら、こども目線の映画をチョイスせざるを得ないですよね。だから、あのテイラー・スウィフトのライブの時のような感じをこのダンスパーティーでも演出できればと思って企画しました。誰でも知ってる曲たちで、こどもも大人も盛り上がる!そういう時間が必要だと考えました。

 

日本の晴れ着は、オシャレか?

— 「つんく♂プロデュース It’s a Kids Dance World!」では、ドレスコードを設定していましたね。男性は襟付きシャツやジャケット、女性はドレスをと。

つんく♂ そうですね。このパーティーではもう1つ、オシャレを楽しんでもらいたいという想いもありました。女の子って、小さい時はドレスを着てくれるけど、小学生になると、ドレスを買っても「どこで着るの?」って言われます。恥ずかしいから着たくない。でも、大人みたいなドレスは着たいんです。そういうオシャレを楽しむ場所がないなと思っていました。

 

— 日本だと、きちんとした格好をするのって行事の時くらいですよね。

つんく♂ 入学式や七五三、親戚の結婚式、これくらいしかないんですよ。でも、そこで着る服って、結婚式の格好であって、オシャレとは違うじゃないですか。こどもたちも休日のお父さんやお母さんの普段着しか見てないわけで、きっと彼らも、僕ら大人が、アメリカのグラミー賞とかでスター達が着ているような格好でお出かけすると「パパかっこいい!」「ママ素敵!」ってなって思い出になると思うんですよね。

 

— 普段とは違う雰囲気の親に見えるでしょうね。

つんく♂ そうなると、パパが娘をレディとしてエスコートするとか、ママと息子が恋人同士っていう時間にもなると思うんです。男の子は、ちょっとオールバックにして、蝶ネクタイをきちっと締めたり、女の子はおめかししたりして。特にヘアスタイルやメイク、ネイルは普段もなかなかきっちりできないだろうし重要なポイントとなるわけです。

 

— まさに、こどもと親が対等になるわけですね。

つんく♂ そうです。なので、このパーティーでは、親がひとりで複数の子を連れてくるというよりか、こどもと親が一対一になるように来てもらえるといいなと思いました。一対一だと、許せることも多いし、成長ぶりも感じられる。「へぇ、こんな顔するんだな」とか。そういう場を作りたかったんです。

 

— いいですね。キッザニアのイベントを機に、日本のいろんな場所で開催されることを期待しています!

 
 

つんく♂さんに聞く、“わたしの子育て論” 【前篇】

 
 

つんく♂
作詞家、作曲家、TNX株式会社 代表取締役社長。1968年生まれ、大阪府出身。1988年にシャ乱Qを結成。ハロー!プロジェクトを始め数々のアーティストのプロデュースなどを手掛け、ジャスラック登録楽曲数は1800曲を超える。現在は国民的エンターテインメントプロデューサーとして幅広く活躍中。著書に「だから、生きる。」(新潮社)

 

Photo : Ayumi Yamamoto / http://www.yamamotoayumi.com/

 

この記事を友達にシェアしましょう